小中学校における学校の割り振り

 一般に、小中学校は「学区」が決まっており、例外を除けばその学区内に住んでいる子供が該当の小中学校に通うことになる。

 今回はこの制度を変更し、成績によって学校を割り振る制度を導入すべきだという主張をしたい。

 個々人の能力に合った環境は非常に大切である。小学生が中学生の授業を受けても大半の場合きちんと内容を理解できない。これは極端な例だが、一般的に言っても教育サービスは生徒のレベルに合ったものが提供されるべきである。しかし、現状は単にそこに住んでいるからという理由で学校が決まってしまう。これは好ましくない。

 そこで、学力に応じて学校を割り当てる必要が出てくる。この制度を導入することで、それぞれの学校には大よそ同じレベルの生徒が集まることになる。各学校は生徒のレベルに合わせた教育サービスが提供できるのだ。

 もちろん、何年かで区切りをつけて再度成績による割り振りをする事が必要だ。それがなければ時間の経過とともに学力にばらつきが出てしまいかねない。

 この制度は学力の差を拡大するという反論があるかもしれないので前もって答えておこう。その指摘は概ね正しいが、それでもこの制度は現行の制度よりも良い状況をもたらすと言える。

 同じ学校に異なるレベルの生徒がいると、自ずとできる生徒とできない生徒という構造が生まれてしまう。おそらく授業はその中間にいる生徒のレベルに合わせて行われる。できる生徒は余裕を持って深く理解できる一方、できない生徒はその都度その都度追いつくのに一苦労だ。

 そのような状況が何年も続くと、最終的にできる生徒は広く深く理解し、できない生徒は基礎も含め殆どのことについてきちんと理解できていないという状況になってしまう。

 しかし、学力によって学校を振り分ければこの問題は解決される。優秀な生徒を集めた学校ではある程度早いペースで進める一方で、成績のよくなかった生徒を集めた学校ではゆっくり丁寧に授業を行うことができる。

 当然優秀な生徒を集めた学校に通っている生徒はより多くのことを学習できて、学力が上がるだろう。一方できない生徒に関しても、自分にあったペースの授業を受けることによって現行の制度下よりもきちんと授業を理解する事ができるのだ。

 恐らく両者の差はあまり埋まらないし、場合によっては広がることもあり得る。しかし、できない生徒についても現行の制度よりは絶対的な学力が向上し得るのだ。結果的に、制度導入以前よりも学力全体の底上げが可能である。

 もちろん、この制度を導入するには課題が多い。まず、共通の基準となるテストを何回実施するかを明確にしないといけない。一発勝負なのか、平均値を取るのかはよく検討される必要がある。内容についても吟味が必要である。

 また、未就学児に統一テストを受けさせることの難しさもある。1〜2年程度は学区域で決められた学校に通い、その後再度割り振りを行うかたちを取る可能性もあるが、そうする場合1〜2年を担当する教員の質が各校で均一でないといけない。

 親が子供の教育にいくら投資するかが学校の割り振りに関わってくることもあり得る。幼い頃から塾に通っている裕福な家庭の子供ばかりが良い成績を取り良い学校に行けるという状況は好ましくないだろう。本来であれば、能力のみが基準となるべきなのだ。

 このような問題はそれぞれが容易に解決できないものである。今後はこれらの問題の解決策についても考察をしていきたいと思う。

 

※ 「続きは次回」というような終わり方をした過去のブログについては鋭意後編を製作中であるのでご容赦いただきたい。