基本的人権はあるのか?

 基本的人権は存在すると思うだろうか。もしあると考えるなら、その根拠はどこにあるのだろうか。

 こう書くからには当然、「基本的人権は存在しない」というのが私の立場である。

 日本国憲法には確かに基本的人権について記載がある。他の国でも、民主国家なら当然のように憲法内に基本的人権に関する記述があるだろう。しかし、それを存在の根拠にして良いのだろうか。

 「基本的人権の根拠は憲法の記述だ」と言うのは、「聖典に書いてあるから神は存在する」と言っているのに近い。そこには客観的かつ具体的な根拠は一切なく、「そう書いてあるから」という事だけが確固たる理由になってしまう。それでは根拠としては説得力が足りないのではないだろうか。

 「無い事を証明できない」という言説はしばしば宗教やオカルトを信じる人間の間で見られるが、それは「無いから証明できない」とも言い換えられる。人間が認知、発見できない物の存在は否定しないが、あるかないか分からない物を具体的な根拠も無しにあると言い張るのは問題がある。

 しかし一方で、基本的人権という「概念」の意義は認めざるを得ない。私としても(実際の有無は別として)その概念自体が社会から消滅してしまうことは避けたいと思う。

 基本的人権の存在を信じるか信じないかに関わらず、殆どの人にとってはこの概念が支持される社会を選択する事が最も合理的な選択と言える。それは何故だろうか。

 次回の更新ではこの疑問について、「マキシミンルールが作り出す虚構」をテーマに解説する予定だ。次回の更新を期待して欲しい。